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UOB元社員、顧客情報1,000件超を詐欺犯に漏洩

 シンガポールの大華銀行(UOB)の元社員が、1,000人以上の顧客情報を詐欺犯に不正提供したとして起訴され、10月14日に有罪判決を受けた。
 
 有罪となったのは、中国籍の曹文青(Cao Wenqing)被告(30)。裁判所資料によると、曹被告は銀行の住宅ローン部門で勤務していた際、顧客データベースにアクセスできる立場にあり、業務外で情報を漏洩した。
 
 曹被告はコンピュータ不正使用法違反14件および銀行法違反13件の罪で有罪となった。弁護人はカリダス法律事務所のカリダス・ムルガイヤン弁護士が務めた。
 
 当時、曹被告は住宅ローン販売および既存顧客の対応を担当しており、氏名、国籍、口座番号、住所、身分証番号、残高などの詳細情報にアクセスできた。
 
 2021年3月、被告は「項迎東(Xiang Ying Dong)」と「陸隊長(Captain Lu)」を名乗る人物から連絡を受け、中国の警察官だと信じ込まされたという。2人は被告に「捜査協力」を求め、中国人顧客の情報を調べるよう指示した。
 
 被告はデータベース上で中国系の姓を検索し、中国籍の顧客を特定。氏名、身分証番号、残高、電話番号をExcel表にまとめ、写真撮影してWhatsAppで送信した後、データを削除したとされる。また、指示を受けて特定の顧客情報を個別に検索したことも判明している。
 
 検察官ライアン・リム氏は「被告は中国警察を装った人物の“捜査”に協力しないと自分が処罰されると恐れ、圧力を感じていた」と述べた上で、「違法であることを理解していながら行為を続けた」と指摘した。
 
 曹被告は2021年4月22日に自ら警察へ通報し、同日に逮捕された。判決の言い渡しは12月に予定されている。