AsiaX

シンガポールで非嫡出子の出生、年間平均745人

 2020年から2024年の5年間で、シンガポール国民の母親から年間平均約745人の非嫡出子が生まれていたことが分かった。10月15日、国会でファドリ・ファウジ議員(労働者党・アルジュニード選出)の質問に対し、社会・家族開発相のマサゴス・ズルキフリ氏が書面で回答した。
 
 このうち、同期間内に実の親によって養子縁組されたケースは12件あったという。
 
 現行の1934年婚姻外出生児法(Legitimacy Act 1934)では、出生時に両親が法的に結婚していない子どもは「非嫡出子」とされる。両親が後に結婚または養子縁組を行わない限り、その地位は変わらない。
 
 マサゴス氏は、「政府は親の婚姻状況に関係なく、すべてのシンガポール人の子どもに平等な支援を提供している」と述べ、教育、医療、保育、乳児ケア、外国人家事労働者(メイド)税の減免などの各種補助金や優遇措置に差はないと説明した。
 
 また、未婚のシングルマザーが自分の子どもを養子として登録する必要はないことも強調し、「すべての子どもは、親の婚姻状況にかかわらず、尊重され、支えられ、平等な成長機会を持つべきである」と述べた。
 
 政府は非嫡出子への社会的スティグマ(偏見)を認識しており、「包摂的で思いやりのある社会の実現に努める」としている。
 
 過去のデータによると、2021年に当時の国務相スン・シュエリン氏が国会で示した数字では、2016〜2020年の5年間の平均は年間約830人で、2013年以降は1,000人を下回る水準に減少しているという。
 
 一方、法曹関係者によると、非嫡出児を実母が養子縁組する理由として、元交際相手(実父)による親権・面会請求を防ぐためや、相続上の権利を確保するためがあるという。
 
 イーデン法律事務所のジューン・リム弁護士は「妊娠中に責任を果たさなかった男性に、出生後に子どもへの関与を求める権利はないと考える母親もいる」と指摘。相続に関しても、「現行の無遺言相続法(Intestate Succession Act)では、非嫡出子は親の財産を相続できず、正当な子または養子のみが対象とされている」と説明した。