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外国人不法就労で毎年420事業者を摘発

 シンガポール人材省(MOM)は10月13日、2021年から2024年の間に毎年平均420の事業者が「労働許可証(ワークパス)」を持たない外国人を雇用したとして摘発されていたことを明らかにした。このうち年間約200件が起訴または罰金処分を受け、残りは初犯や短期間の不法就労など軽微な事案として警告処分にとどまった。
 
 MOM報道官は「外国人がシンガポールで働くには有効なワークパスが必要であり、雇用主や事業者は就労開始前に必ず確認する義務がある」と強調。「これは新しい規制ではなく、従来からの要件だ」と述べた。違反の程度に応じて、違法就労期間や関与人数などを考慮し、処分内容を決定するという。
 
 また、9月11日にはMOMがシンガポール映像・音響・クリエイティブ協会と共同で声明を発表し、「観光ビザや学生ビザで入国した外国人は、シンガポール国内でクリエイティブ関連業務を行うことは認められない」と改めて注意喚起した。MOMは通報をもとにデータ分析を活用して違反事例を特定し、摘発を行っている。
 
 現行法では、ワークパスなしで就労した外国人は最高2万Sドルの罰金または最長2年の禁錮、あるいはその両方が科される。さらに、シンガポールへの入国・就労を永久に禁止される可能性もある。雇用主も最高3万Sドルの罰金または最長12ヵ月の禁錮、またはその両方が科される。
 
 一方で、短期・断続的な活動については「ワークパス免除(Work Pass Exemption)」が認められる場合もある。MOMの公式サイトによると、報道取材、カジノ関連のジャンケット業務、映像撮影などが対象で、事前にMOMへ通知すれば年間90日まで活動が可能である。
 
 MOMは「免除対象を判断する際には、活動の期間や断続性、国内雇用への影響など複数の要素を考慮している」と説明している。対象活動や学生ビザ保持者の就労可否などの詳細は、MOM公式サイトで確認できる。