AsiaX

シンガポール競争委員会、誇大広告防止へ新ガイド発表

 シンガポール競争・消費者委員会(CCS)は10月6日、企業による誤解を招く広告表現を防ぐため、新たに「品質関連表示ガイド」を公表した。これは、製品やサービスの特性・効能・利点を正確かつ明確に伝えることを目的としており、消費者が「見たものが実際に得られる」取引環境を整備する狙いである。
 
 同ガイドは、すべての品質主張が満たすべき5つの原則を提示した。①真実で正確であること、②表現が明確で専門用語を避けること、③主張が意味を持ち、比較は公正で裏付けがあること、④条件や前提を明示すること、⑤信頼性のある最新の証拠に基づくこと、である。
 
 CCSのアルビン・コー最高経営責任者は「本ガイドは企業が公正取引法を遵守しつつ、消費者との信頼を築く支援となる」と述べ、「特に環境関連表示をはじめ、すべての品質主張が“空約束”ではなく事実に基づくものとなるよう促したい」と強調した。
 
 この発表は、近年相次ぐ誤表示事例を受けたものである。2024年には浄水器メーカーSterra Tech社が水道水の品質を誤って貶める広告を行い警告を受けたほか、ネイルサロン大手Nail Palace社の代表者が虚偽広告により2024年に禁錮刑を受けた。2025年にはHairFun社が高額契約を高齢客に誤認させた件も摘発された。
 
 さらに、2023年のシンガポール国立大学ビジネススクールの調査では、電子商取引サイト上の環境主張の51%が曖昧であることが判明しており、「グリーンウォッシング(見せかけの環境配慮)」の懸念が指摘されている。CCSは、消費者にも広告内容を鵜呑みにせず、虚偽表示を見つけた場合は消費者協会や広告基準機構への報告を呼びかけている。