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シンガポールの道路陥没穴、過去3年で約40%減少

 シンガポール陸上交通庁(LTA)は10月2日の発表で、2022年と比べ2024年1~9月の道路陥没穴(ポットホール)発生件数が約40%減少したと明らかにした。LTAはその要因として、データ活用による予防的な道路維持管理の強化を挙げている。
 
 LTAは、定期点検や市民からの通報、交通量データ、道路種別分析などをもとに、早期の路面劣化を検知して補修を実施。これによりポットホールの発生を防ぎ、道路寿命を延ばしている。現在、同庁は高速道路を週1回、主要道路を2週間ごと、補助道路を8週間ごとに点検しており、管理対象は総延長9,500車線キロに及ぶ。再舗装は、高速道路で7~10年ごと、主要道路で10~15年ごと、補助道路で15~25年ごとに行われている。
 
 LTAはまた、2025年第4四半期から「次世代道路舗装研究」を開始する予定で、再生舗装材や低温製造可能なウォームミックス・アスファルト、リサイクルプラスチックを活用した新素材の検証を進める。高速道路・幹線道路向けと、交差点・バス停付近向けの2種類の設計を開発し、電気自動車(EV)の増加や不安定な気象条件に対応できる耐久性の高い舗装を目指すという。
 
 LTAは2024年11月から、工業地帯デフ・アベニュー1で高弾性アスファルト舗装の試験運用も開始しており、通常の舗装に比べ交通荷重に5倍耐え、補修作業時間を最大70%短縮できる見込みだという。この素材の採用により、雨季に水で損傷しやすい下層部の劣化を防ぎ、長期的な維持費削減が期待される。
 
 さらに、LTAはAIと映像解析を活用し、道路下の空洞を特定して沈下を未然に発見・修復する体制も整備している。タンジョン・カトン・ロード・サウスで7月に発生した大規模陥没事故を受け、より高度な監視技術の導入を進めているが、同庁によれば同規模の事例はまれであるという。
 
 LTAは「予防的な道路管理は安全性とコスト効率を両立させる最も効果的な方法」とし、ポットホールは通常24時間以内に修復できる体制を維持していると述べた。