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シンガポール人と永住者のカジノ来場者数、2024年は前年比5,000人減少

 シンガポール賭博規制庁(GRA)は10月2日に発表した年次報告で、2024年のカジノ来場者数がシンガポール国民および永住者(PR)合わせて9万4,000人となり、前年(9万9,000人)から約5,000人減少したと明らかにした。
 
 報告によると、カジノ入場料(リーヴィー)の購入件数も引き続き減少傾向にあり、年間パスの保有者数は約7,100人から約6,700人に減少した。入場料は1日券が150Sドル、年間パスが3,000Sドルで、シンガポールにはマリーナ・ベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサの2つの主要カジノがある。
 
 一方、全国ギャンブル依存対策評議会が2023年に実施した調査では、住民の問題ギャンブル率は1.1%と「低水準かつ安定的」に推移していると報告された。
 
 GRAのタン・ティー・ハウ委員長は前書きで、「規制の有効性を維持するため、今後も新技術やデータ主導型アプローチを採用し、規制戦略を見直していく」と述べ、「制度や管理体制も重要だが、最終的には“人の要素”が効果的な規制の要である」と強調した。
 
 同庁は現在、AI(人工知能)を活用して不正行為やリスク行動を検知し、カジノ事業者との協力を通じてコンプライアンス文化の強化を進めている。タン氏は「世界的な基準に沿い、脆弱な個人を保護することを優先すべきだ」と述べ、オーストラリアでの事例を引き合いに、事業者が安全な遊技環境を確保できない場合には規制当局が厳しい措置を取る必要があると指摘した。
 
 また、2024年11月にはリゾート・ワールド・セントーサ(RWS)の観光実績が不十分と判断され、通常3年のカジノライセンス更新期間が2年に短縮されたことにも触れ、「我々の“遵法優先”の姿勢を示すものであり、事業者に高い規制基準の維持を求めていく」と述べた。
 
 さらに、同庁は2024年9月、ジュロン、マウント・フェーバー、パシリス、トアパヨー、タンピネス、ユーチュンのサフラ施設内にあるゲーミングルーム6ヵ所について、社会的安全対策を実施しなかったとして、1週間の営業停止処分を科したことも明らかにした。
 
 GRAは今後、データ分析と可視化技術の活用を拡大し、来場傾向の予測モデルを構築しているほか、合法的な賭博への移行がどの程度進んでいるかを評価するため、事業者と協力して新しい賭けタイプのデータ分析も進めているという。