シンガポール証券取引所(SGX)で新規株式公開(IPO)の動きが活発化している。9月末には複数の企業が上場申請書を提出し、地元および地域企業の関心が高まっている。市場関係者は、近年低迷していた流動性が回復し、シンガポールが「安全かつ成長志向の上場市場」として再評価されつつあると指摘している。
9月29日以降、産業用不動産開発会社スンホック・エンタープライズや、コリビング事業を展開するコリウー(LHNグループ傘下)など4社がIPO目論見書を提出した。スンホック社は過去に1,200以上の工業用ユニットを供給しており、調達資金を新規開発用地の取得や再開発に充てる計画である。コリウーは25棟のコリビング施設を保有・運営しており、2024年の売上高は5,220万Sドルで前年比86%増、税引前利益は1,700万Sドルと40%超増加した。
一方、食品製造のリョンガン社と香港系接着剤メーカーのインフィニティ・デベロップメントもカタリスト市場への上場を申請した。リョンガン社は22年以上の業歴を持ち、2,000以上の顧客を抱える麺類・豆腐製造企業であり、2024年の売上高は3,750万Sドル、純利益は170万Sドルを計上した。
2025年に入り、インフォテック・システムズが2年ぶりにメインボード上場を果たして以降、SGXのIPO件数は7件に達した。市場では金利低下と資金流入を背景に投資家の関心が再び高まりつつあり、専門家は「良質な企業が積極的に上場を検討している」と分析する。
さらに、シンガポール通貨金融庁(MAS)が2月に打ち出した市場活性化策も追い風となり、中小企業の上場意欲を刺激している。アナリストらは、今後も適正な価格設定と高い企業ガバナンスを維持することが、持続的な市場成長と投資家信頼の鍵になると強調している。
シンガポール証券取引所(SGX)で上場活発化
