2025年9月30日
シンガポール警察、AIチャットボット「R-Cop」を導入
シンガポール警察は、通報内容の明確化と手続き時間の短縮を目的に、人工知能(AI)を活用したチャットボット「R-Cop(Report Lodging Co-Pilot)」を10月1日から導入する。R-Copは国内7警察管区本部に設置された9台のセルフヘルプ型通報端末で利用可能となる。
R-Copは、通報者がSingpassでログインした後、チャット形式で通報内容を入力すると、AIが内容を分析し、事件の種類や不足している情報を自動的に判断する仕組みである。たとえば詐欺事件の場合は銀行口座番号や電話番号、ひき逃げの場合は車両ナンバーや損傷状況など、重要な情報の記入を促す。入力後、AIが自動生成した報告書を確認・編集して提出できる。
従来は通報者が必要事項を漏らすことも多く、警察官が後日確認の電話を入れるなど、双方の時間がかかっていた。R-Copの導入により、初期段階で重要情報を確実に取得し、捜査の効率化が期待される。
開発は内務省傘下の科学技術庁(HTX)が担当。英語対応のみだが、現地の言い回しも理解できるよう設計されている。警察は「R-Copにより通報体験を改善し、重要情報を最初から正確に取得することを目指す」と説明している。
すべての入力データは政府サーバーで厳重に管理され、公共部門のサイバーセキュリティおよび個人情報保護法に基づき保護される。R-Copは警察デジタル化の新たな一歩として、2005年のオンライン通報制度開始、2013年のセルフ端末導入に続く改革となる。


