2025年9月30日
80歳以上のシンガポール人、10年で約6割増 超高齢社会目前に
シンガポールで80歳以上の市民が過去10年で約60%増加し、2025年には14万5,000人に達した。2015年の9万1,000人から大幅に増加し、市民全体の4%を占める。男女比では女性が約6割を占めている。国家人口・人材局(NPTD)が9月29日に発表した年次報告書「Population in Brief 2025」により明らかになった。
同報告書によると、シンガポールは2026年に「超高齢社会(super-aged)」に突入する見通しである。これは65歳以上の人口比率が21%を超える状態を指し、2025年時点で既に20.7%に達している。2015年の13.1%から大きく上昇し、2030年には約24%に達すると予測されている。
一方、20~64歳の生産年齢人口の割合は2015年の64.5%から2025年には59.8%に低下し、高齢者を支える人口構造のバランスが崩れつつある。市民の中央値年齢も2015年の40.7歳から2025年には43.7歳に上昇し、高齢化の加速が浮き彫りとなった。
政府は高齢化対策として、健康寿命の延伸、住宅・交通インフラの整備、経済的自立支援などを進めている。国民の日演説で発表された「エイジ・ウェル・ネイバーフッド構想」では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりを推進する。第1号はシンガポール最古の町の一つ、トアパヨで開始される予定である。
専門家は「80歳以上人口の急増は社会構造の大変革を意味する。医療、住宅、介護インフラの拡充が急務だ」と警鐘を鳴らしている。


