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社会

2025年9月29日

シンガポール人男性、麻薬密売容疑で不起訴も拘禁命令発令

 シンガポール内務省(MHA)は9月26日、麻薬取引の容疑で起訴されながら「無罪には至らない不起訴処分」を受けたシンガポール人ベニー・キー・スンチュアン氏に対し、犯罪法(臨時規定)法(CLTPA)に基づく拘禁命令を発令したと発表した。命令はシャムガム内務大臣により9月22日付で出されたものである。
 
 MHAは、キー氏が国内での麻薬取引に関与していたとしつつも、証人が報復を恐れて法廷で証言を拒んだため起訴の維持が不可能となったと説明した。麻薬犯罪は通常薬物乱用法に基づき起訴されるが、CLTPAの適用はあくまで最後の手段であると強調している。
 
 CLTPAでは、公共の安全や秩序維持のため必要と判断されれば、最大12ヵ月の拘禁を命じることが可能であり、大統領の承認を得れば同期間ごとに延長できる。MHAによれば、キー氏は9月8日にCLTPAの規定に基づき逮捕され、その同日に覚醒剤取引共謀の罪で不起訴処分を受けていた。
 
 同法では、被疑者は最長48時間の拘束が可能であり、警視またはそれ以上の階級の警察官の判断で一定条件下ではさらに14日間の延長が認められる。不起訴処分は「新証拠が得られた場合、再び同じ罪状で起訴できる」性質を持つため、捜査当局は今後も事案を継続して監視する可能性がある。
 
 今回の措置は、証人保護と麻薬犯罪対策の両立という司法制度の限界を浮き彫りにする事例として注目を集めている。

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