シンガポールの労働者約1万5,000人を対象にしたオンライン調査によると、2024年に3人に1人が仕事に関連したストレスや燃え尽きを経験したと回答した。調査は人材省(MOM)が職業安全衛生評議会(WSH Council)、精神保健研究所などと連携して提供する無料ツール「iWorkHealth」に基づくものである。
ただし、この調査は任意であり、使用するかどうかは雇用主に委ねられているため、全産業を網羅するデータではないとシャーン・ファン労働兼財務政務次官は9月25日の国会答弁で注意を促した。MOMは体系的に燃え尽き症候群に関する統計を収集していないが、導入された2021年以降、報告割合はおおむね安定しているという。
MOMは、より多くの雇用主が従業員のメンタル状態を把握し適切に支援できるよう、iWorkHealthの利用拡大を進めている。加えて、職場のメンタルヘルスを支えるための三者構成によるアドバイザリーを発行し、雇用主が活用できる具体的指針や支援策を提示している。
WSH Councilは「Well-being Champions Network」を立ち上げ、企業間での実践共有や研修を通じて職場環境改善を図っている。また、MOMは「Total WSH」プログラムにより、無料のメンタルヘルス研修を提供している。
ファン氏は「時に職場で圧倒される感覚は自然なことだが、良好な環境があればストレスを軽減できる」と強調。さらに、持続可能で充実したキャリア形成が燃え尽きを防ぐとし、キャリア選択を支援する「Career Health SG」の活用を呼びかけた。
今回の答弁は、2025年総選挙後にファン氏が労働省政務次官として行った初めての口頭答弁であり、職場のメンタルヘルス対策が重要政策課題として位置づけられていることを示している。
シンガポール労働者の3人に1人、仕事関連のストレスや燃え尽き経験
