社会政策担当調整相のオン・イェクン氏は9月23日、国会での大統領演説討論において、世界的に広がるポピュリズムの潮流に触れ、分断を招く政治を排除しなければ「社会の結束や調和が長期的に損なわれる」と警告した。
オン氏は2025年総選挙を振り返り、外国人が宗教に基づく投票を呼びかける事例があったことから、ローレンス・ウォン首相が介入し「人種や宗教を政治に持ち込むべきでない」と各党に注意を促したと述べた。「もし異なる展開となっていたら、シンガポール社会の根幹に深刻で持続的な影響を及ぼしていた」と強調した。
同氏はまた、2021年には進歩シンガポール党(PSP)がインドとの経済協定を巡り「インド人専門職に自由を与えた」と主張し、雇用不安を扇動する中で人種的な色合いが強まったと指摘。自身を含む複数の閣僚が国会で説明し、誤解を正した経緯を挙げた。「ポピュリズムに対抗する最良の防御は国民がこれを拒否することである」とし、2025年総選挙でも持続不可能な福祉政策や排外的な主張は支持を得られなかったと語った。
ただし、ポピュリズムは不平等や外国人との競争といった社会的懸念から芽生えるとし、「真実を部分的に歪め、安易な解決策を提示する者は種に水をやる存在となる」と警鐘を鳴らした。米国や欧州、日本を含む先進国でも移民問題を背景とした右派ポピュリズムが広がっていると述べ、「最終的には財政が破綻するか、社会が分裂する」と強調した。
討論の中で野党第一党・労働者党(WP)のプリタム・シン書記長は、選挙区境界の変更や限られた準備期間を理由に候補者数を絞ったと説明。オン氏は「国民はWPに代替政策を期待している」と述べ、建設的な役割を果たすよう求めた。
オン氏は最後に「今後PAPにとって政治は一層厳しくなるが、国民がより賢明に選択することはシンガポールにとって正しい方向である」と結んだ。
オン ・ イェクン (Ong Ye Kung) 氏、ポピュリズムの危険性を警告
