シンガポール労働者党(WP)が提案した「ニーズに基づくCOE(車両購入権)制度」は一見魅力的に映るが、実際には主観的で分断を生み、恩恵を受ける人は限られるとシオ運輸代行相は9月22日の国会で述べた。
WPのジャマス・リム議員(センカンGRC)は、子育て世帯や高齢者介護者など自家用車の必要性が高い層に対し、COE割引を適用する案を提示した。具体的には、14歳未満の子どもが2人いれば10%の割引、以降の子ども1人ごとに追加で10%を割り引くとした。また、80歳以上の両親や慢性疾患を抱える親を介護する世帯にも10%の割引を提案した。
しかしシオ氏は、誰を優先するかの基準設定が困難であると反論した。「子どもが何人いれば対象とするのか、世帯収入か個人収入か、大家族を優遇すべきか」など線引きは難しく、不公平感を招くと指摘した。さらに「一世帯に数万Sドル規模の補助を与えるよりも、その資金を公共交通整備や医療、教育、防衛に充て、多くの国民を支援する方が適切である」と述べた。
COE収入は年間40億〜60億Sドルに上り、高品質で安価な公共交通の維持に活用されている。政府はCOE供給の前倒しや一時的な2万件の追加投入など価格安定策を進めているが、需要増により9月17日の入札では小型車COEが11万9,003Sドルと過去最高を更新した。
シオ氏は最終的に「完全ではないが、市場メカニズムは最も公平かつ効果的に希少資源を配分する仕組みである」と強調し、現行制度を堅持する姿勢を示した。
ニーズ別COE制度に政府が慎重姿勢
