2025年9月24日
シンガポール、8月のコアインフレ率0.3%に低下
シンガポールの物価上昇圧力が予想以上に緩和し、8月のコアインフレ率は前年比0.3%と、2021年2月以来の低水準となった。シンガポール金融管理局(MAS)と通産省(MTI)が9月23日に発表した。
コアインフレ率は7月の0.5%からさらに下がり、2カ月連続での低下となった。主因はサービス価格の伸び鈍化で、旅行関連費用や入院費の下落が影響した。また、電気・ガス料金も電力価格の下落で前年比5.7%低下した。宿泊インフレ率は家賃上昇の鈍化により0.4%へと小幅に低下した。一方、民間輸送費は自動車価格の上昇を背景に2.4%へ上昇した。食料品は1.1%で横ばいであった。
MASとMTIは2025年のコア・総合インフレ率見通しを0.5〜1.5%に据え置いた。両機関は「賃金上昇の鈍化と生産性向上により労働コストが抑制され、政府補助金もサービスインフレを和らげる」と説明した。
経済学者らは低インフレが生活費高騰からの大きな緩和をもたらしていると評価しつつも、第4四半期以降は上昇に転じる可能性を指摘する。DBSのチュア氏は「需要は底堅く、政府の補助金や株価・不動産市場の堅調さも下支えしている」と述べた。OCBCのリン氏は「労働市場の軟化や世界経済の逆風が需要を抑える一方、米中摩擦に伴う輸出競争が物価低下要因となっている」と指摘した。
また、2026年にはCOE(車両購入権)プレミアム上昇や環境車優遇の縮小、金融緩和によるシンガポールドル安が物価を押し上げる要因となるとの見方も示された。
8月の総合インフレ率は0.5%と、7月の0.6%から低下し、予想を下回った。


