2025年9月10日
車両リベート縮小でCOE価格高騰の見込み
シンガポール陸運庁(LTA)と国家環境庁は9月8日、電気自動車(EV)への早期導入インセンティブ(EEAI)と排出ガス規制スキーム(VES)の合計リベートを、2026年1月以降現行の4万Sドルから3万Sドルに縮小すると発表した。また、ハイブリッド車は同年から2,500Sドルのリベートが廃止される。
当局は「短期的にはCOE価格の上昇が見込まれる」とし、慎重な入札を呼びかけた。これを受け、自動車ディーラー各社は2025年末にかけて需要の前倒しが起こり、COE価格がさらに押し上げられるとの見方を示している。特に小型車カテゴリーでは圧力が強まりやすく、9月初回入札では既に10万7,889Sドルと過去最高を記録した。
ビンカー・グループのビジネスコンサルタント、ビンセント・ン氏は「車齢10年に近づいた更新需要が2024年の倍に達しており、多くの所有者が高いリベートを得られるうちに買い替えを急ぐだろう」と述べた。BYDを扱うサイム・モーターズのテオ氏も「COE価格が翌年必ず下落する保証はなく、むしろモーターショーや旧正月前の需要で高止まりする可能性がある」と指摘する。
一方、コモコ・モーターズのン氏は「2026年には小型ハイブリッド車のリベート廃止に加え、大型SUVハイブリッド車には7,500Sドルの追加課徴金が発生する」と述べ、年内販売強化を図る考えを示した。市場全体は2025年、中国EVブランドの参入で競争が一層激化している。
また、2023年には大型車COEが15万Sドルを超え、LTAが追加供給で価格抑制を試みた事例もあり、業界関係者は今後の供給枠次第で需給が大きく左右されると警戒する。LTAは2025年11月から2026年1月期の供給枠を10月に発表予定である。


