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経済

2025年9月9日

シンガポールの小型コンドミニアム 需要堅調も転売は困難

 シンガポールではスタジオや1ベッドルームといった小型コンドミニアムの需要が安定している一方、転売は大型ユニットに比べて難しい現状が浮き彫りとなっている。マリーナベイ・レジデンスの732平方フィートの1ベッドルームを所有していたフランス人投資家は、2016年に155万Sドルで購入したが、2022年に売却を試みても買い手がつかず、3年後の2025年8月にようやく160万Sドルで手放したにすぎなかった。
 
 ERAシンガポールと都市再開発庁(URA)のデータによれば、2019年から2025年の再販取引の約4分の1はスタジオまたは1ベッドルームであった。特に郊外(OCR)での取引が多く、2025年1~7月には352件が成立した。一方、価格上昇率は年間平均3%と低く、2~5ベッドルームの5~8%に劣る。利益を得られた割合も89%にとどまり、より大型のユニットに比べて低水準である。
 
 小型ユニットは独身者や投資家にとって手頃な選択肢であるが、レイアウトの制約や限られた買い手層により、価格の伸びが鈍い傾向にある。特に築10年以上の物件は、新規プロジェクトで同じ面積に複数の部屋を設ける設計と競合し、投資家の関心を集めにくい。
 
 オレンジティー&タイの不動産仲介業者ニコル・テオ氏は「投資物件購入時には出口戦略を考えることが重要だ」と指摘する。現在、2010~2025年竣工の1ベッドルームは約4,661件が売りに出されており、供給過多が転売難を示している。
 
 小型ユニットは依然として初めての購入者には魅力的であるが、投資家にとっては慎重な判断が求められる状況である。

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