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経済

2025年9月9日

2026年からシンガポールの中等教育で「コンピューティング」選択科目に拡大

 シンガポール教育省は、2026年より上級中等生全員が「コンピューティング」を選択科目として履修できるようにすると発表した。これまではエクスプレスコース(G3)生徒に限定されていたが、ノーマル(アカデミック)水準に相当するG2生徒にも拡大される。目的はデジタル時代に不可欠な計算思考やICT技能を広く育成することである。
 
 新カリキュラムではG1、G2、G3の3段階で難易度が設定される。G1は2023年に廃止された「コンピュータ応用(CPA)」に代わり、クラウドや人工知能といった新技術にも触れる内容に改訂される。G2はマイクロコントローラーを使った実践的課題を含み、データ分析や問題解決力を養成する。G3はOレベル科目として提供されてきた内容を踏襲し、より高度なプログラミングやシステム理解を求める。
 
 教育省カリキュラム計画部のオン・コンホン氏は「コンピューティングを創造的分野として学ぶと同時に、サイバーセキュリティや新技術の影響について理解を深めることが狙いだ」と説明した。さらに発想力、精度、コミュニケーション力などのライフスキル向上にもつながるとしている。
 
 導入を先行する一部学校では関心が高まっている。ジュロンウエスト中等学校では2025年から試験的にG2を導入予定で、すでに60名超の生徒が2026年に履修希望を示した。校長のポー・シーフイ氏は「数学力を基準とした選抜を行い、成功につながるよう配慮する」と語る。ニーアン中等学校でも数学成績と面接を条件とする仕組みを導入する。
 
 教育現場からは「複雑な問題を分解し解決法を見出す思考力が、急速に変化する社会において不可欠である」との声が上がっている。コンピューティング教育の拡大は、次世代の基盤スキル育成に直結する施策となる。

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