2025年9月9日
若年シンガポール人女性に潜む健康リスク 筋肉量低下と体脂肪率増加
シンガポールで実施された研究によれば、20〜30代の中国系女性のうち、標準体重であっても4人に1人が「低筋肉量と高体脂肪率」を併せ持ち、骨密度の低下も見られることが明らかになった。この状態は、サルコペニアや骨粗鬆症といった運動器疾患のみならず、糖尿病などの代謝性疾患のリスクを高めるとされる。
従来の体格指数(BMI)ではこうした兆候を捉えることができないため、研究者らは「アジア人女性に特有の隠れた健康リスク」と指摘している。特にシンガポールは世界でも高水準の大腿骨骨折発生率を抱えており、骨粗鬆症が深刻な課題となっている。骨粗鬆症は長年のうちに骨を脆くし、転倒や衝撃による骨折につながる。女性は妊娠、授乳、更年期などライフステージに応じて骨量減少が加速しやすく、男性に比べ骨折リスクが高い。
この研究は、シンガポールにおける母子の長期的健康影響を調べる「Singapore Preconception Study」の一環であり、米国骨・鉱物研究学会の学術誌に4月に掲載された。研究チームはBMIの限界を指摘し、デキサスキャン(X線吸収測定)、生体インピーダンス法、握力測定などによる体組成評価の重要性を強調した。
また、骨の健康を維持するためには乳製品の摂取やレジスタンストレーニングを取り入れることが推奨される。研究者は「予防的介入は妊娠前から始めることが望ましい。母体の骨密度の特徴は子世代にも影響する」と警告している。


