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築40年以上の古いコンドミニアム、中古市場で需要拡大

 かつて1980年代以前に建設されたコンドミニアムは「老朽化物件」と見なされることが多かった。しかし現在の市場では、築40年以上の物件が再評価され、売買件数と価格が上昇している。
 
 シンガポール都市再開発庁(URA)と不動産調査会社リアリオン・リサーチのデータによると、リースホールド型の古いコンドミニアムは2018年以降、着実に需要を伸ばしている。2018年には築40年以上の物件が101戸再販され、平米単価は中央値でSドル914だった。2024年には再販件数が3倍以上の323戸に達し、中央値はSドル1,109へ上昇した。さらに2025年1~7月には既に215戸が取引され、中央値はSドル1,115となっている。
 
 2010年時点では81戸、2014年にはわずか13戸の再販にとどまっていたことを踏まえると、直近の取引増加は顕著である。背景には、広い専有面積と比較的割安な価格に魅力を感じる買い手が増えていることがある。新築や築浅物件に比べ、築年数が経過した物件は更新リスクを抱える一方で、立地や広さを優先する実需層にとって依然として価値が高い。
 
 中古市場の動きは、土地不足や価格上昇が続くシンガポール住宅市場全体の状況を映し出しており、古いコンドミニアムが「掘り出し物」として再び注目を集めている。