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シンガポールの電子タバコ規制強化、海外で賛否の声

 シンガポール政府は8月17日、電子タバコ(ベイプ)を薬物問題として扱い規制を強化すると発表し、9月1日からは使用者への罰金引き上げや供給業者への厳罰化を実施した。さらに麻酔薬エトミデートを含む「Kpods」などの違法ベイプをクラスC薬物に指定し、取り締まりを強化している。
 
 この動きに対し、海外では賛否両論が広がっている。マレーシアでは健康専門家や消費者団体がシンガポールを評価し、学生や若者の使用増加を踏まえて全面禁止を求める声が高まった。一方、ニュージーランド拠点のロビー団体Caphraは「科学を捨てた恐怖煽動」と批判した。これに対しシャムガム内務相は8月30日、同団体を「タバコ企業と結びついた利益団体」と断じ、「危険性を矮小化する詭弁だ」と強く反論した。
 
 インドネシアはベイプ産業の拡大を背景に禁止せず、違法薬物混入への監視強化で対応すると表明。2025年には市場規模が5億78百万Sドルに達するとの予測もある。観光当局は「シンガポールの規制が逆にバタム島観光の追い風になる」との見方を示した。
 
 欧州では英国やベルギーが使い捨てベイプを禁止し、オーストラリアも規制を強化。若年層の利用急増が背景にある。シンガポールの厳格路線は各国に議論を促しており、公共の健康と産業の利害を巡る国際的な対立が浮き彫りとなっている。