シンガポールの放送大手メディアコープは9月1日、全社員の約3%に当たる93人を削減すると発表した。組織全体を対象とした人員整理であり、影響を受けた従業員は9月末までに社内の別職に応募できるが、再配置が叶わなければ9月30日付で雇用終了となる。
同社は声明で、長尺コンテンツや従来型のプラットフォームが視聴者や収益獲得で苦戦する一方、短尺・モバイル優先・SNS主導の形式への需要が高まっていると指摘。インフレや貿易混乱、市場変動など不透明な世界経済も重なり、長期的な持続可能性を強化するため人員削減が必要になったと説明した。
対象者には勤続1年につき1ヵ月分、最大25ヵ月または25万Sドルを上限とする退職金が支給される。給与や役職によって金額は変動する。さらに、全国労働組合会議(NTUC)傘下の放送従業員組合(SUBE)や雇用能力開発機関(e2i)と連携し、職業紹介や再就職支援を行う。シンガポール人従業員は、スキルズフューチャーの就職支援制度により最大6,000Sドルの一時的給付金を受け取れる可能性もある。
タム・ロクケン最高経営責任者は「苦渋の決断だが、影響を受ける仲間を誠実かつ丁寧に支援する」と述べた。メディアコープは2015年にも約30人を削減し、50人を配置転換している。
メディアコープ、経営環境悪化で93人削減を発表
