シンガポールの老舗ホテル「ホテル・ミラマール」は、10月末をもって営業を終了すると8月29日、食品・飲料・関連労働者組合(FDAWU)と共同で発表した。今回の決定により、約108人の従業員が影響を受ける。
同ホテルと組合は声明で「長期的な事業見通しを慎重かつ包括的に評価した結果、苦渋の決断を下した」と説明した。ホテルは早い段階から組合と協議を行い、従業員への支援と公平で尊厳ある対応を約束したという。
協議の結果、退職金は労使協約および組合慣行に沿って支給されるほか、再雇用制度対象者にも特別に適用される。長期勤務者には追加支給が行われ、勤続年数と献身を評価する形となる。また、勤続2年未満の従業員に対しても善意の一時金が支給される。
FDAWUはホテルと連携し、影響を受ける従業員の再就職支援を行う。労働運動のネットワークであるNTUC傘下のe2i(就業能力開発機構)とつなぎ、職業紹介やキャリアコーチング、スキル向上の助言を提供する。8月28日と29日に実施された従業員向け説明会では、e2iが現場に入りキャリア支援サービスや一対一の相談を行った。
ケン・リム総支配人は「1968年以来、ミラマールはシンガポールのホスピタリティの歴史の一部であったが、真にホテルを形作ったのは従業員である」と述べ、スタッフに謝意を示した。FDAWUのサンカラダス事務局長も「同ホテルは雇用を創出し続けてきた象徴的存在であり、閉鎖は残念だが、経営陣が協約を超えた支援を行ったことは労使協力の良き実例である」と評価した。
ホテル・ミラマール、10月末で営業終了
