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9月1日からKpod供給者に最高20年禁錮と鞭打ち

 シンガポール政府は8月28日、電子タバコ(ベイプ)の乱用対策を強化すると発表した。特に麻酔薬エトミデートを含む「Kpod」を供給する者には、9月1日から最高20年の禁錮刑および最大15回の鞭打ち刑を科すことが可能となる。これまで毒薬法で処罰されていたが、鞭打ちは対象外であった。
 
 初犯の乱用者には年齢に応じて罰金が引き上げられる。18歳未満は500Sドル、成人は700Sドルであり、いずれも従来より200Sドル高い。さらに最大6ヵ月間の強制リハビリが義務付けられる。再犯者は逮捕のうえ監督・薬物検査・リハビリが課され、三度目以降は薬物更生施設での強制治療に移行する。16歳未満は1年間の強制監督対象となる。
 
 エトミデートは9月1日から2026年2月末まで「薬物乱用法(MDA)」のクラスC薬物に指定され、所持・使用で最高10年禁錮および2万Sドルの罰金が科される。販売・流通業者も2~10年の禁錮と2~5回の鞭打ちが可能となる。
 
 会見でK・シャナムガム内相は「問題が深刻化する前に先手を打つ」と述べ、違法供給を「他人の不幸で利益を得る冷酷な犯罪」と非難した。オン・イェクン保健相は「ベイプは深刻な薬物乱用の入り口となっている」と警告した。文部省によると、2022~24年に年間約3,100人の小中高生・短大生が摘発され、さらに高等教育機関では年間約800人が摘発されたという。
 
 また、HSA職員に逮捕権限を与えるほか、労働省や陸運庁も押収や罰則を行えるようになる。さらにオンライン犯罪対策法や組織犯罪法など重大犯罪向けの法律が適用され、違法販売による利益没収やSNSでの広告遮断も可能となる。
 
 ベイプは禁止されているが依然として流入が続いており、当局は越境協力による供給遮断も視野に入れている。政府は「ゼロトレランス」の姿勢を鮮明にし、喫煙代替品ではなく薬物犯罪として対処する方針を強調した。