シンガポール大手スーパーのフェアプライスは、プンゴル・デジタル・ディストリクトに新たに開設する店舗で、自動割引システムやAIアシスタントを導入する試験運用を開始する。同店舗は8月28日に開業予定であり、政府支援制度の対象カードを持つ利用者は、セルフレジにおいてアプリを通じ自動的に割引が適用される仕組みとなる。従来は店舗スタッフがカードを確認していたが、政府の「MyInfo」データと連携することで、利用者は正しい割引を自動的に受けられるようになる。
対象は、コミュニティ健康支援制度(CHAS)やパイオニア世代などの政府支援カード保有者である。フェアプライスのデニス・シー最高デジタル技術責任者は、異なる割引制度が日ごとに適用されるため、利用者が誤ったカードを持参するケースがあったと指摘し、「MyInfoでプロフィールを更新すれば、所得や年齢に応じて自動的に最適な割引が適用される」と説明した。
また、新店舗ではAIによる健康サプリやワインの推奨サービスも導入される。体組成測定や健康目標の入力に基づき、ユニティのAIが適切な商品を提示するほか、QRコードを読み込むとAIソムリエが料理に合うワインを提案する。さらに、タッチスクリーン付き「スマートカート」や在庫・安全管理を支援する「Vision AI」も試験展開される。
これらは、今後3年間で60以上のデジタル施策を導入するフェアプライスの一環であり、数百万Sドル規模の投資が行われる。デジタルラベルや「エンドレスアイル」と呼ばれるオンライン注文機能も試験的に導入され、成功すれば全国164店舗へ拡大される予定である。新技術は顧客の利便性を高めるだけでなく、従業員が商品補充や調理など付加価値業務に集中できる環境づくりにつながるとしている。
フェアプライス、新店舗で自動割引とAI導入を試験運用
