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シンガポールSea社、時価総額でDBSを抜き東南アジア首位に

 シンガポールのインターネット企業Sea(シー)が、時価総額で地域最大手銀行DBSグループを上回り、東南アジアで最も価値の高い上場企業の座を再び獲得した。背景には主力事業であるECプラットフォーム「Shopee(ショッピー)」の急成長がある。
 
 米国市場で8月25日にSea株は1.1%上昇し、時価総額は1,110億USドル(1,430億Sドル)に達した。翌26日、シンガポール市場でDBS株が0.6%下落し、時価総額は1,103億USドルとなり、Seaが首位に立った。
 
 Sea株は2024年初頭から4倍以上に急騰しており、同社の地域での存在感に対する投資家の信頼を示している。Shopeeは東南アジアでのネット通販需要の拡大を背景に、スマートフォンから日用品まで幅広い分野で圧倒的なシェアを確立。8月には市場予想を上回る過去最高の売上を報告し、TikTok(バイトダンス系)やLazada(アリババ系)といった競合を押し返す強さを見せた。
 
 同社は物流部門「SPX Express」にも注力しており、主婦や学生、高齢者などを配送人材として活用する仕組みで信頼性の高いネットワークを築いている。また徹底したコスト削減で黒字化を達成し、今後はデジタル金融など新事業への展開で持続的成長を狙う。
 
 一方、DBSも年初来65%の株価上昇を記録し、配当増額や自社株買いを発表するなど投資家還元を強化している。両社の成長競争は、東南アジア経済の活力を象徴する動きといえる。