シンガポールは、経済平和研究所(IEP)が発表した「世界平和度指数(Global Peace Index)」において、アジアで最も平和な国の座を維持し、世界ランキングでは6位となった。戦争や国境管理強化、貿易摩擦が広がる国際情勢の中で、同国の治安と安全は依然として高い評価を得ている。
アジアで上位に入った国はシンガポールのほか、日本(12位)とマレーシア(13位)のみである。IEPは、シンガポールが「安全・治安」の項目で特に高得点を記録したと指摘する。
現地の市民もこの評価を裏付ける。ITエンジニアのリッキー・モリエ氏(49)は「厳しい法律と低い犯罪率が治安を支えている。違法薬物や犯罪には重い代償があり、人々は行動に慎重である」と語る。また街灯や防犯カメラの整備が行き届き、窃盗や強盗も短時間で検挙される環境が整っているという。フィリピン出身の国立大学准教授エド・アララル氏も「娘が深夜に公共交通機関を利用しても安心できる」と語り、母国マニラとの差を強調した。
ランキング全体ではアイスランドが首位を維持し、次いでアイルランド、ニュージーランド、オーストリア、スイスが続く。IEPは2025年に新たに3件の国家間紛争が発生し、第二次世界大戦以降で最も多い水準に達したと指摘するが、依然として平和を優先する国々も存在する。
アジア太平洋地域は平和度がわずかに低下したものの、世界で2番目に平和な地域とされる。ニュージーランドが地域トップを維持し、インドネシアはテロ対策の進展により平和度が改善した。一方、ミャンマーは内戦の激化で地域最下位となった。
今回の結果は、シンガポールが治安や秩序の面で依然として国際的に高い信頼を得ていることを改めて示したといえる。
シンガポール、アジアで最も平和な国の地位を維持 世界ランキング6位に
