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麻酔薬エトミデート、9月1日から有害薬物に指定へ

 シンガポール政府は、麻酔薬として医療現場で用いられるエトミデートを9月1日付で「薬物乱用法(MDA)」のクラスC薬物に指定すると発表した。エトミデートは本来静脈注射による臨床使用を目的としているが、近年は電子たばこ用カートリッジ「Kpods」などに混入され乱用が拡大しており、政府は強化した規制に乗り出す。
 
 オン・イェクン (Ong Ye Kung) 保健相は8月24日、セラングーンでの地域イベントで「国民の日ラリーでも首相らが言及した通り、特に電子たばこやエトミデート入りベイプ利用者への取締りを強化する」と述べた。
 
 現在エトミデートは「毒薬法」に基づき規制されているが、MDAへの再分類により罰則は大幅に厳格化される。違法所持や使用で最長10年の懲役および2万Sドルの罰金、密売では最長10年の懲役と鞭打ち5回が科される可能性がある。これは毒薬法下での所持・使用・密売に対する最長2年の懲役および1万Sドルの罰金と比較して大幅な引き上げである。
 
 MDAはまた、乱用者に対し強制的なリハビリ措置を規定しており、原則12ヵ月間の収容が義務付けられる。クラスC薬物はクラスA・Bほど強力ではないが、十分に有害であり厳格な規制が必要とされる。既に精神刺激薬ピプラドロールや睡眠薬エリミン5(ニメタゼパム)などが同区分に含まれる。
 
 エトミデートは吸入摂取を前提とした物質ではなく、肺に直接取り込むことで痙攣、呼吸困難、発作、精神錯乱などを引き起こす危険性がある。オング氏は、押収された電子たばこの約3分の1にエトミデートが含まれていたことを明らかにしており、既に複数の死亡例も確認されている。政府は8月28日に電子たばこ対策の詳細を改めて発表する予定である。