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女性が列車ドアに挟まれた事故 SBSトランジットに全面責任との判決

 2022年6月、プンゴルMRT駅で列車ドアに頭部と首を挟まれた女性が起こした民事訴訟で、シンガポール地裁は8月13日、運営会社SBSトランジットに「100%の責任」があると認定した。原告のン・ライピン氏は同社の過失を主張していた。
 
 判決によれば、事件当日、ン氏はセンカン駅からプンゴル駅まで乗車し、列車が運行を終了する際に下車せず残っていた。車内の照明が落とされドア閉鎖の警告音が鳴る中、他の乗客と共に降車しようとしたが、暗さのために転倒。顔をホームと車両の間にぶつけ、さらにドアに挟まれた。
 
 SBSトランジットは「列車内で運行中止のアナウンスを流し、ホームでも乗車禁止を告知した」と主張したが、映像には音声記録がなく、証人も当該車両にはいなかった。裁判官は「実際にアナウンスが流れた証拠は示されなかった」と判断し、原告の説明が他の同乗者の行動とも一致すると指摘した。
 
 また、同社はパンデミック後の人員不足により列車引き上げ時の配置を4人に減らしていた。裁判官は人員配置そのものは不合理ではないとしつつも、5号車にスタッフが配置されなかったことが安全確保に不十分であったと認定した。
 
 SBSトランジットは判決から14日以内に控訴可能であり、今後は同社の過失が女性の負傷と損害にどの程度結びついたかが審理される。損害賠償額の算定を含む次段階の裁判に注目が集まっている。