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シンガポールで外国人配達員3人を不法就労で逮捕

 シンガポール人材開発省(MOM)は8月18日、全国規模の取締りで不法に配達業務に従事していた外国人3人を逮捕したと発表した。過去数週間にわたり行われた一連の取締りでは、375人の配達員を対象に身分確認が行われた。
 
 コー・ポー・クーン厚生・人材開発上級国務大臣は、今回の取締りはナショナル・デリバリー・チャンピオンズ協会(NDCA)からの通報や配達員との定期的な対話を通じて把握した「ホットスポット」で実施されたものであると説明した。また、不法就労を幇助した地元住民に対しても捜査を進めていると明らかにした。
 
有効な就労パスを持たずに働いた外国人には、最高2万Sドルの罰金もしくは最長2年の懲役、またはその両方が科される。さらにアカウントを貸与して不法就労を助長した地元関係者も同様の処罰対象となる。
 
この問題に対応するため、7月にはMOM、交通省、全国労働組合会議(NTUC)、主要配達プラットフォーム事業者(Grab、Deliveroo、Foodpanda)が参加する三者構成の作業部会が設置され、不法就労の防止策を検討している。
 
配達プラットフォーム各社も厳格な姿勢を示している。Deliverooは本人確認や顔認証を導入し、不正アカウント利用を摘発する体制を整備。Foodpandaも違反者に対し即時のアカウント停止やブラックリスト化を行うとした。Grabも自撮り認証を通じたランダムチェックを実施し、違反者には警告、停止、最終的には契約解除まで行う方針を示している。
 
MOMによれば、2024年1月から12月の間に約90件の外国人不法配達員に関する通報が寄せられ、うち30人に対して取締りが実施された。不法就労が合法的な配達員の収入に悪影響を与えることから、政府と業界は協力して不正防止を徹底していく姿勢である。