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社会

2025年8月19日

シンガポール開発の新機器、糖尿病患者の平均血糖を6分で測定可能に

 シンガポールで開発された新しい医療機器が、糖尿病患者の過去3ヵ月間の平均血糖値(HbA1c)をわずか6分で測定できるようになった。従来は検査結果が出るまで数日を要する場合が多く、患者が複数回クリニックを訪れる必要があったが、新システムの導入によりその負担が大幅に軽減される。
 
 この「Rapid HbA1c Point-Of-Care-Test」は、国立ヘルスグループ(NHG)のプライマリケア部門であるNHGポリクリニックと地場医療機器企業SG Diagnosticsが共同開発したものである。指先から採取した少量の血液を試薬とともに解析装置にかけることで、精度は従来の臨床検査と同等とされる。カランポリクリニックのテオ医師によれば、患者はその場で結果を知ることができ、治療方針を即時に見直すことが可能となる。
 
 この機器は「PreciS-A HbA1c Analysis System」として販売されており、すでに島内約300のGPクリニックで導入されている。ShopeeやLazadaなどのECサイトでも466Sドルで購入でき、家庭用試験も進められている。さらに訪問診療や地域健診への活用も検討され、政府の「Healthier SG」予防医療戦略とも連動している。
 
 シンガポールでは2022年の国民健康調査で国民の約12人に1人が糖尿病とされ、合併症予防のための管理強化が急務である。並行してNHGは、腎機能障害リスクを最大3年前に予測できる分析ソフト「HealthVector Diabetes」の試験も開始した。加えて、光センサー搭載のスマートリングや3Dプリントによる個別設計インソールなど、地場技術を活用した新機器も相次いで登場している。
 
 これらの取り組みは、糖尿病患者の生活の質を高め、重篤な合併症を未然に防ぐための大きな一歩であるといえる。

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