シンガポール保健科学庁(HSA)は8月13日、香港衛生署(DOH)と医療製品の規制協力に関する覚書(MOU)を締結した。医薬品や医療機器、伝統薬のほか、タバコ製品や電子タバコに関する規制情報や取り締まり手法の共有を含む。専門家交換、会議・学会への参加、共同研修やプロジェクトも行う予定で、HSAのチュア最高経営責任者は「両地域の公衆衛生保護を強化する重要な一歩」と述べた。
背景には、エトミデートを含む「Kpods」などの違法電子タバコの蔓延があり、両地域で深刻な問題となっている。香港では「スペースオイル」と称して流通し、死亡例や9歳児の使用も確認されており、2026年半ばまでに公共の場での所持・使用を禁止する方針。シンガポールではエトミデートを薬物乱用法の対象に追加し、常習者や密売者には強制リハビリや再犯時の禁錮刑を科すことが可能になる。
HSAはKpods摘発専任の捜査官を募集し、学校周辺での取り締まりや、公共施設に設置された回収ボックスによる「Bin The Vape」キャンペーンを展開。内務省からも人員を派遣し、監督・治療・更生を支援する。違反通報窓口や禁煙支援プログラム「I Quit」も提供され、自主的な禁煙希望者には罰則を科さない方針である。
シンガポールと香港、電子タバコ規制で協力強化
