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経済

2025年8月12日

低賃金小売労働者、9月から最大6%の賃上げへ

 シンガポールの低賃金小売労働者は、2025年9月1日から2028年8月31日までの3年間、年5.1%〜6%の賃上げを受ける見通しである。フルタイム従業員は年間130〜160Sドルの昇給となり、パートタイム従業員も初年度に時給約6%の増額が適用される。2027年9月以降の引き上げは2026年に経済状況を踏まえて見直される予定である。
 
 今回の勧告は、小売業プログレッシブ・ウェージ・モデル(PWM)を所管する三者構成小売業クラスター(TCR)が9ヵ月間の協議を経てまとめ、政府が受け入れたもの。対象はシンガポール人および永住者で、入門レベルの月給は現行の2,175Sドルから2,305Sドルに、上位職や管理職も段階的に引き上げられる。2027年9月にはアシスタント・スーパーバイザーの最低月給が3,100Sドルに達する。
 
 小売業は運営コスト上昇、人手不足、越境ECとの競争に直面しており、政府は2025年に最大40%、2026年に20%の昇給分を共同負担して企業負担を軽減する方針である。PWMは2012年導入以来、清掃、警備、造園、昇降機保守などに適用され、賃金引き上げと技能向上を両立させてきた。小売業では現在5万3,000人超が対象で、最低賃金未満の労働者は賃上げの恩恵を受ける。
 
 TCRは今回、昇給だけでなく、明確なキャリアパスや訓練機会の拡充も提案。関連資格を持つ者はPWMの最低訓練要件を満たすと認定される。NTUCのン・チーメン書記長は「 dignified progression(尊厳ある成長)の機会を全ての労働者に」と強調し、TCR議長のヨー・ワンリン氏も「賃上げとスキル支援により、小売業を長期的に魅力ある職業に育てたい」と述べた。

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