2025年上半期におけるシンガポールの速度違反件数が、前年同期比で45.5%増の11万8,000件を超え、交通警察(TP)は「改善の兆しはない」と強く懸念を示している。これは2024年の1年間の違反件数である約20万1,400件にも迫るペースであり、依然として危機的状況であることを印象づけた。
TPは2024年4月以降、赤信号カメラへの速度取締機能の追加など取り締まりを強化してきた。その結果、同期間に4万2,400件以上の速度違反がカメラで検知されたが、それでも件数の抑制には至っていない。TPは違反抑止には取り締まりだけでは不十分であるとし、道路利用者自身にも責任を果たすよう強く呼び掛けている。
TPの研究・企画・組織開発部門長であるリャン・ウェイション(Lian Weixiong)氏は、この傾向を「懸念すべき動向」と指摘し、「全力を尽くして事態を終結させる」と語っている。今後、取り締まり強化だけでなく、啓発活動にも力を入れていく方針である。
また、トラックを含む大型車両については、速度制限装置(スピードリミッター)の早期搭載を企業に促している。実際、速度制限装置付きトラックは2025年上半期にほぼ速度違反ゼロであるのに対し、装置未搭載のトラックでは641件の違反が記録されており、前年同期比で13.5%の増加となっている。
TPは2026年1月1日から、積載質量3,501kg以上1万2,000kg以下のトラックに限り、装置搭載を義務化する予定であり、それにより違反抑止効果を高めたい考えである。
リャン警視は、「すべての道路利用者に一層の責任が求められている。いま行動を起こさなくては、多くの命が危険にさらされ続ける」と、国民への協力を改めて訴えている。
2025年前半、速度違反件数45%増
