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社会

2025年8月6日

シンガポール、授乳支援強化へ 2026年第1四半期までに公共授乳ポッド60基を設置

 2026年第1四半期までに、シンガポール国内の公共スペースに授乳や搾乳ができる専用ポッドが60基新設されることが発表された。これにより、母乳育児中の母親たちはより快適で衛生的な環境で赤ちゃんをケアできるようになる。
 
 この取り組みは、スタートアップ企業Go!Mamaが、テマセク財団および国家ボランティア・フィランソロピーセンターと提携して実施するもので、シンガポール建国60周年を記念する施策の一環でもある。設置場所は、公園、図書館、交通ハブ、オフィスビルなど人通りの多い場所が中心となる。
 
 Go!Mamaは2021年にセントーサ島で5基のポッドを試験的に設置して以来、現在までに約100基を展開。2万人以上の母親や介助者が利用しており、平均使用時間は20分程度とされる。
 
 建築建設庁(BCA)は2024年2月に建築基準を改正し、延べ床面積5,000㎡以上の新築建物には授乳室の設置が義務付けられるようになった(従来は10,000㎡以上が対象)。授乳室はトイレ内に設けてはならず、電源や鏡の設置などの具体的条件も新たに規定された。改正は2024年11月から施行される。
 
 インドラニー・ラジャ首相府大臣は8月5日のポッド発表会で「既存の建物で改修が困難な場合でも、可動式の授乳ポッドは重要な代替手段となる」と述べた。また「女性は労働力の重要な一員であり、職場が育児支援に対応していくことが不可欠だ」と強調した。
 
 今回設置される60基のポッドは、シンガポールの文化や歴史を反映したデザインが施され、内部外部にデジタルスクリーンを搭載。健康・育児情報の発信や、他の保護者のストーリー共有にも活用される。企業がポッドを「採用」し、自社施設や地域に設置することも可能である。
 
 実際にポッドを活用しているビジネス開発担当のサンディ・リーさん(27)は「授乳室がなくトイレで搾乳していた頃に比べ、今は母親として外出のハードルが下がった。母親に優しい社会の実現が少しずつ進んでいることを実感している」と語った。

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