シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPUOB、9月1日から主力預金口座の金利引き下げへ

金融

2025年8月5日

UOB、9月1日から主力預金口座の金利引き下げへ

 シンガポールの主要銀行の預金金利引き下げが続く中、UOB(大華銀行)は9月1日から主力の「UOB One」口座の金利を引き下げると発表した。これは過去2年間で3回目の改定となる。
 
 この動きは、OCBCが8月1日から「360口座」の金利を引き下げたことに続くもので、現時点でDBSのみが主力の「Multiplier口座」の金利(1.8~4.1%)を維持している。
 
 UOBは、給与振込+クレジットカード利用、またはクレジットカード利用+3つのGiro引き落としという2つのカテゴリーにおいて、ボーナス金利を0.5~0.8ポイント引き下げる。これにより、これらの条件を満たした場合でも、9月以降は預金額12万5,000Sドルまでに対して年1~3%の金利しか得られず、現行の1.5~3.8%から減少する。
 
 具体的な年間利息の試算は以下の通り:
 
 クレジットカード利用+3つのGiro取引:750〜1,750Sドル
 
 給与振込+クレジットカード利用:1,125〜2,625Sドル
 
 クレジットカード利用のみ:487.50〜512.50Sドル
 
 UOB広報担当者は、「今回の改定は長期的な金利見通しに沿ったものであり、6月末時点で前年同月比10%以上の利用者がボーナス金利を享受している」と説明した。なお、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は7月30日に政策金利(4.25~4.5%)を据え置いている。
 
 市場アナリストらは、UOBがこれまで競争力ある高金利を打ち出してきたことを踏まえ、「他行より魅力的な商品を『正常化』する動き」と評価。一方で、UOBがネット金利マージン(NIM)を維持するため、資金調達コストを抑制する意図があるとの見方もある。
 
 OCBCも8月1日に360口座の給与振込、貯蓄、カード利用のカテゴリーの金利を引き下げたが、保険・投資カテゴリーのボーナス金利は据え置いた。OCBCの担当者は、「360口座は引き続き競争力がある」と述べており、金利改定は市場動向を踏まえたものだとしている。
 
 一方、DBSは金利を維持しており、2022年3月から2025年3月にかけてMultiplier口座の利用者数は30%以上増加。特に、中央積立基金(CPF)からの年金受取を収入として認識する唯一の口座である点が、65歳以上の顧客約90万人にとっての魅力となっている。
 
 金利引き下げの波は、預金者にとって悩ましい状況を生んでいる。57歳の土木技師リオン・メン・サン氏は、スタンダードチャータードからDBSに口座を乗り換えた。「定年後も利息が得られる点が魅力だが、DBSも今後金利を下げるかもしれない。それはリスクとして受け入れるしかない」と話す。

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