2025年7月30日
シンガポール航空、第1四半期利益59%減 インド事業の損失響く中でも需要は堅調
シンガポール航空(SIA)は7月28日、2025年度第1四半期(4〜6月)の純利益が前年同期比59%減の1億8,600万Sドルとなったと発表した。これは金利収入の減少や、関連会社の損失計上が主因であるとされる。前年度同時期は4億5,200万Sドルの黒字であった。
特に、2024年12月にビスタラ航空の完全統合に伴い持分法適用会社となったインドのエア・インディアの赤字が、グループ決算に影響を与えた。同社は現在、エア・インディアの25.1%を保有している。
営業利益は14%減の4億500万Sドルとなったが、売上高は1.5%増加。SIAとLCC子会社Scootは合計で過去最多となる1,030万人の乗客を運び、前年同期比で6.9%の増加を記録した。しかし、1乗客1㎞あたりの収益を示す「旅客収益単価」は2.9%減の10セントとなり、競合の激化が影響した。
業績発表を受け、SIAの株価は7月29日の取引で急落。取引開始直後に最大8.6%(65セント)下落し、6.95Sドルをつけた。その後やや回復し、正午時点では6.8%安の7.08Sドルで推移。1,237万株が取引された。
アナリストからは、シンガポール国内の航空・貨物事業は堅調との評価もある一方、エア・インディアの業績が引き続き重荷となる可能性が指摘された。6月の同社便の事故後、インド国内外での予約数が20%減少、運賃も8~15%下落したと報じられている。
SIAは今後、夏期需要の高まりや東南アジアへのネットワーク拡充(マレーシア、フィリピン、スリランカ、タイ、インドネシア・ラブアンバジョーや沖縄など)を進める予定で、ジェットスター・アジアの7月末での撤退も追い風となる見込みである。
なお、同社は204機の航空機を運用しており、37カ国・地域129都市に就航。今後も市場変化に柔軟に対応しつつ、収益力の回復と持続的成長を目指すとしている。


