AsiaX

シンガポールで10代の出産が再び増加傾向に

 2024年、シンガポールで10代による出産件数が前年比7%増の244件となり、ここ数年続いていた減少傾向に歯止めがかかった。移民関所庁(ICA)が7月18日に発表した「出生・死亡登録報告書2024」によると、これは2023年の228件、2022年の218件から上昇しており、2005年の853件と比較すると減少しているものの、再び増加の兆しが見えている。
 
 この傾向について、10代妊婦を支援する非営利団体「Babes」のエグゼクティブディレクター、メリサ・ウォン氏は、パンデミック中の孤独感や不安、避妊知識の不足、中絶の選択を避ける傾向など複合的な要因があると指摘する。
 
 Safe Placeなどの支援団体では、12歳の少女が相談に訪れる例もあり、16〜18歳が中心である。10代で出産を選ぶ理由には、宗教的な価値観や胎児への愛着、家族やパートナーからの支援があるという。中には妊娠後期まで支援を求めず、中絶が法的に不可能となって出産に至る例も見られる。
 
 保健省によると、過去5年間の10代妊婦の平均年齢は18歳である。また、2024年には父親の名前が登録されていない出生が330件あり、そのうち4分の1が10代の母によるものであった。
 
 支援団体は、こうした若年層の母親が精神的・経済的に育児への準備が不十分なまま出産を迎え、孤立感や周囲の偏見に苦しんでいる実態を明らかにしている。
 
 16歳のサラ(仮名)は、15歳で妊娠・出産し、学校を中退。パートナーの無関心や親族の非難を受けながらも、祖伯母の支えで育児を続けている。彼女は「娘の笑顔を見ると疲れも吹き飛ぶ。私の誇りです」と語る。
 
 支援の現場では、彼女のような若年母親が新しい人生の一歩を踏み出すための心理的・物質的支援が求められている。

ChatGPT に質問する