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シンガポール・ポスト株、3年ぶり高値に上昇

 シンガポール・ポスト(SingPost)の株価が7月23日、前日比2.3%(1.5セント高)の65.5セントで取引を終え、2022年7月以来の高値を記録した。これは、同社が非中核事業である貨物輸送部門の完全売却を発表した翌日の動きである。
 
 同社は7月22日、Famous Holdingsおよびその関連事業、さらに完全子会社を通じて保有していたRotterdam Harbour Holdingの全株式を総額1億7,790万Sドルで売却したと発表。今回の売却により、約1,050万Sドルの売却益と約1億400万Sドルの現金が確保された。
 
 Famous Holdingsは、オーストラリア、日本、マレーシア、ニュージーランド、英国などで事業を展開しており、今回、ドバイに本拠を置くDP World Logistics FZEに1億2,500万Sドルで売却された。一方、Rotterdam Harbour Holdingの売却額は約5,350万Sドルで、これにより財務基盤が一段と強化されると同社は述べている。
 
 なお、Rotterdam Harbour Holdingの2024年3月末時点での純資産は3,000万Sドル、税引前利益は1,590万Sドルであった。
 
 SingPostは、5月に進行中の戦略見直しと事業再編を表明しており、6月には国内21カ所の郵便局が入居するHDBショップハウス10棟を売却予定と発表。店舗はリースバック方式で引き続き使用する方針だ。加えて、3月にはオーストラリアの物流子会社Freight Management Holdings(FMH)を約8億5,800万Sドルで売却済みである。
 
 証券会社メイバンクのアナリスト、ジャリック・シート氏は「SingPostの株価上昇のカギは引き続き資産の現金化にある」と述べ、非中核資産と位置づけられているパヤレバの複合商業施設「SingPost Centre」の売却も、2026年に実現する可能性があると見ている。2023年9月時点で同施設の評価額は11億Sドルだった。
 
 同社は過去に内部通報問題を巡る対応をめぐり、CEOを含む3名の幹部が解任される事態も経験。2024年3月期の実質純利益は前年同期比で40%減の2,480万Sドルとなったものの、FMH売却益を含めた最終利益は2億4,510万Sドルと3倍超に拡大した。
 
 SingPostは引き続き、非中核資産の切り離しと再投資を通じて、財務強化と成長分野への集中を目指している。