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政治

2025年7月14日

シンガポール政府、違法薬物混入電子たばこへの対策強化を検討

 シンガポール政府は、エトミデートなどの規制薬物が混入された電子たばこ(e-ヴェイパライザー)の摘発が急増している現状を受け、関連法規の強化を検討している。保健省(MOH)および内務省(MHA)は7月12日、電子たばこへの取り締まり強化について「現行法の更なる改善を視野に入れている」という。
 
 保健科学庁(HSA)は、2025年前半だけでエトミデートを含むヴェイパライザーポッド28件を摘発。これは2024年の10件からほぼ3倍に増加している。シンガポールでは2018年2月より電子たばこが全面禁止されており、2024年1月から2025年3月にかけては約4,100万Sドル相当の電子たばこ関連物品が押収されている。
 
 4月には、13歳の少女が電子たばこを使用中に異常行動を起こし拘束された事例も発生。家宅捜索でエトミデートを含む機器(通称Kpod)が発見され、販売した25歳の男も後に摘発された。この件では、男とその妻、少女が捜査協力中である。
 
 MOHとMHAは共同声明で、「電子たばこが向精神薬を含む事例が国内外で報告されており、問題は深刻化している」と警告。警察、麻薬中央取締局、入管・税関庁(ICA)、環境庁(NEA)などと連携し、流通・販売・広告への取り締まりを強化している。
 
 さらに、学校教育の場では保健促進委員会と教育省が協力し、青少年に対する啓発活動や禁煙支援プログラム「I Quit Programme」を実施している。
 
 エトミデートは毒物法に基づく管理下の麻酔薬で、医療機関でのみ厳格に使用が認められている。吸入用カプセルや電子たばこに含まれる形態では医療品とは認められず、禁止対象となる。使用により筋肉の痙攣、意識障害、けいれん、精神錯乱などの重篤な副作用が報告されており、身体依存を招く危険性もある。
 
 シンガポールでは、電子たばこの所持・使用・購入には最大2,000Sドルの罰金、輸入・販売・配布には最大1万Sドルの罰金または6カ月以下の懲役、もしくはその併科が科される。政府は今後も、特に薬物混入型製品への厳格な対応を継続していくとしている。

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