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社会

2025年7月11日

マラッカ・シンガポール海峡で海賊・武装強盗が急増 2025年上半期に前年の4倍

 2025年上半期、マラッカ・シンガポール海峡における海賊および武装強盗の報告件数が急増し、前年同期比で約4倍に達した。アジア全体でも大幅な増加が見られ、域内の海上安全に対する懸念が強まっている。
 
 7月10日に発表されたReCAAP情報共有センター(ISC)の報告によると、2025年1月から6月にかけて、マラッカ・シンガポール海峡では80件の海賊・強盗事件が報告された。これは2024年同期の21件に比べ、著しい増加である。アジア全体では同期間に95件の事件が報告され、前年の52件から83%増となった。
 
 ReCAAPはアジア域内での海賊対策を目的とした多国間協定で、2006年に発効した。シンガポールのヨークホテルで行われた記者会見で、ReCAAP ISCのビジェイ・チャフェカル事務局長は、事件の多くが重大性の低いものであり、他地域に比べて凶悪性は低いと述べた。過去4~5年、アジアの公海上での深刻な事件は発生しておらず、ギニア湾のように人質を取って身代金を要求する事例は見られていない。
 
 ただし、被害の多くは軽微であっても、船員にとっては心理的負担が大きく、依然として懸念材料であるという。報告された80件のうち、最も深刻な「カテゴリー1」に該当する事件はなかった。「カテゴリー2」に分類された中程度の事件は7件で、そのうち6件がばら積み貨物船、1件がコンテナ船で発生。1件では船員が軽傷を負い、4件では船員が拘束された。
 
 盗難された物品には、携帯電話、金のネックレス、エンジン部品、発電機部品などが含まれていた。その他の事件は被害が少ないか、侵入未遂に終わっている。
 
 ReCAAP ISCは同日、海運業界と対話を行い、現状と対策について意見交換を行った。海運会社からは「船同士で警戒情報を共有すること」が有効であるとの提案があり、実際に小型船の接近を前方の船に通報し、シンガポールの船舶交通情報システムが周辺船舶に警報を出したことで、侵入を未然に防いだ事例も紹介された。
 
 特に夜間は小型船の接近に気付きにくいため、今後もこうした連携と情報共有が海上安全の鍵となる見込みである。

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