2025年7月8日
クロスアイランド線第2期工事が正式着工、2032年までに西部6駅開業予定
シンガポールで進行中のMRT「クロスアイランド線(CRL)」の第2期工事が正式に着工した。第2期はTurf Cityからジュロン湖地区までを結び、6つの新駅が2032年までに完成予定である。5月にはすでに自然保護区直下のトンネル掘削が開始されている。
第2期の目玉は、地上から50m(16階建て相当)の深さに建設されるKing Albert Park駅で、これは従来最深だったDowntown LineのBencoolen駅(43m)を超える。また、ClementiやKing Albert Parkでは既存駅とCRLを接続するリンクも段階的に整備される。
CRLは総延長50kmで、完成すればシンガポールで最長の地下鉄路線となる。第1期は2030年に開業予定の12駅(Aviation Park〜Bright Hill)、第2期とPasir Ris〜Punggol延伸は2032年の完成を見込む。第2期の工事費用だけで40億Sドルを超え、全体で166億Sドル以上の契約がすでに発注済みである。
CRLは21駅のうち8駅が既存路線との接続駅となり、「次の環状線」とも称される。交通担当代行大臣ジェフリー・シオ氏は、将来的な鉄道メンテナンスを昼間にも実施可能にすることで、保守性と運行の柔軟性が向上すると述べた。
環境面では、中央集水域自然保護区(CCNR)を横断する5km区間が最大80mの深さでトンネル化され、大型掘削機により一度に複線トンネルを掘る計画である。低炭素資材や電動建機の導入も検討されており、環境配慮が強化されている。
自然保護団体との協働も2013年から進められ、工事区域の縮小やロープ橋の設置などが実現。Clementi ForestやEng Neo Avenue Forestなど生物多様性の高い地域に対しては、湿地の新設や作業員への野生動物教育など、影響軽減策も導入された。
それでも不可逆的な森林破壊が懸念されており、LTAは引き続き自然保護団体との連携を継続する方針である。環境コンサルタントのオデムプシー氏は「緊張関係から始まったが、双方が歩み寄ったことで良好な関係に変わった」と評価した。
CRL完成後は日間60万人、将来的には100万人の利用が見込まれており、西部住民の移動効率が大幅に向上することが期待されている。