高級ブランド「ルイ・ヴィトン」は、シンガポールのInstagram上で偽造品を販売していた業者に対し、商標権侵害を理由に20万Sドルの損害賠償を勝ち取った。
対象となったのは、Ng Hoe Seng氏が運営していた「emcase_sg」と「emcrafts_sg」という2つのInstagramアカウント。氏は本物と偽ってパスポートカバーやカードケースなどの偽造品を格安で販売。例えば、正規品では560Sドル〜945Sドルのパスポートカバーを、159Sドルで販売していた。
ルイ・ヴィトンは2022年7月にこの販売活動を突き止め、2,100Sドル分の商品を購入する覆面調査を実施。偽物と確認された後、2023年3月に停止命令を送付したが、Ng氏は別アカウントに切り替えて販売を継続した。
再度の覆面購入を経て、同年8月にルイ・ヴィトンは商標侵害で訴訟を提起。Ng氏は一切の裁判手続きに応じず、2023年11月30日、シンガポール高等裁判所はルイ・ヴィトン側の主張を全面的に認めた。
2025年7月2日、Gill判事は20万Sドルの損害賠償を認定。ルイ・ヴィトン側が主張していた290万Sドルに対し「過度に高額」として却下された。判事は9カテゴリの商品に限定し、理論上の上限額を90万Sドルに設定した。
判決では、Ng氏を「常習的な侵害者」とし、「顧客レビューの転載やインフルエンサーの利用など、欺瞞的なマーケティング」を用いたと厳しく批判。さらに「正規素材を再利用した」との主張も「虚偽の重ねがけ」と退けられた。
なお、EMCASE SGは7月3日時点で事業登録が抹消され、関連Instagramアカウントも削除されている。一方で「emcrafts.sg」と似た名称のアカウントが依然として活動中で、ルイ・ヴィトン製品を思わせる商品を販売している模様である。
ルイ・ヴィトン、偽造品販売のInstagram業者に損害賠償命令
