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政治

2025年6月27日

個人番号(NRIC)のパスワード使用を速やかに中止するよう民間企業に勧告

 2025年6月26日、シンガポール政府は、民間企業に対して国民登録番号(NRIC)をパスワードとして使用しないよう求める新たなガイドラインを発表した。発行元は個人情報保護委員会(PDPC)とサイバーセキュリティ庁(CSA)であり、その内容は両機関の公式ウェブサイトに掲載されている。
 
 今回の勧告は、特に保険記録などの個人専用文書へのアクセス時に、NRIC番号をデフォルトパスワードとして用いる現在の慣行が、第三者によるなりすましや個人情報漏洩のリスクを高めるとして問題視されたものである。NRIC番号は一部の人に知られている可能性があり、パスワードとしての安全性に欠けるとされている。
 
 勧告では、NRIC番号の全体または一部を、誕生日など入手しやすい情報と組み合わせて使用することも中止するよう呼びかけられている。代替としては、強力なパスワード、セキュリティトークン、指紋認証などの使用が推奨されている。
 
 デジタル開発・情報省(MDDI)は、今後数カ月以内に金融、医療、通信分野などの主要業界と連携し、業種別の具体的な指針を策定していく方針を示している。
 
 この問題の背景には、2024年12月に発生したビズファイル(Bizfile)ポータル上での個人番号表示問題がある。企業登記ウェブポータルの利用者から、ログインせずに他人のNRIC番号が閲覧できるとの指摘が相次ぎ、プライバシー保護に対する懸念が浮上した。
 
 当時、MDDIは「マスキングされたNRIC番号でもアルゴリズムにより実番号を推測可能」とし、番号の隠蔽方式の見直しを進めていたが、アカウント登録局(Acra)の対応が政府の想定よりも早かったと釈明していた。
 
 ジョセフィン・テオ情報大臣はその後の記者会見で、NRIC番号の適切な取り扱いに関する国民への教育と、民間企業との協議の加速を表明している。
 
 政府は引き続き、市民の個人情報を保護し、正当な目的に限って安全に利用されるよう努めていくとしている。

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