2025年6月20日
スタンダードチャータード銀行、80名削減 業務はインドへ移管
英ロンドンを本拠とするスタンダードチャータード銀行(StanChart)は、シンガポールにおいて新たな人員削減を実施し、約80名の従業員の職務をインドに移管した。金融業界求人サイト「efinancialcareers」が6月12日に報じた。
削減対象となったのは主にテクノロジーおよびオペレーション部門のスタッフであり、同行のシンガポール拠点関係者によると、今回の削減は「始まりに過ぎない」との見方もある。
スタンダードチャータードの広報担当者は、「シンガポールは依然として当行のグローバル業務や技術部門にとって重要な拠点である」とし、削減の詳細やコスト削減計画との関連については明言を避けた。一方で、「当行は業務の効率化と顧客サービス向上のため、常に運営体制の見直しを行っている」と述べている。
同行は現在、企業全体でのコスト削減プログラム「Fit for Growth」を進行中で、15億USドル(約20億Sドル)を株主還元に充てることを目標に掲げている。2025年2月には市場予想を上回る第4四半期決算を発表している。
スタンダードチャータードは2024年11月にも、シンガポール、ロンドン、香港において計100人規模の人員削減を行っており、アジアに軸足を置いた同行のコスト削減計画の一環とされていた。
同行のシンガポール本社はマリーナベイ・ファイナンシャルセンターにあり、国内に11支店、30以上のATM網を展開している。なお、公式ウェブサイト上では、現在も60以上のシンガポール拠点の求人が掲載されており、オペレーション、マーケティング、事業開発など多岐にわたる分野で採用を継続している。
今回の削減は、AIの台頭によって人員構成を見直す動きが加速する中で行われている。DBS銀行も今後3年間で契約・派遣社員を約4,000人削減する方針を示しており、HSBCも2024年10月に管理職の重複解消を目的とした再編計画を発表している。
なお、シンガポールにおける金融業のGDP寄与率は2018年の12.5%から2024年には13.8%へと拡大しており、同国内では約20万人がこの分野で働いている。