2025年6月6日
Grab、7月に新タクシー「GrabCab」開始 トヨタ・プリウス40台で運行開始
配車サービス大手Grabは、2024年7月から新たなタクシー事業「GrabCab」を開始すると発表した。これはGrabのレンタル部門「GrabRentals」の子会社として立ち上げられ、初期導入として40台の第5世代トヨタ・プリウス(電動ハイブリッド車)が投入される。
6月4日の記者発表によると、GrabCabは今後、2025年には完全電動車両の導入も視野に入れており、2024年8月にはハイブリッドのヒュンダイ・コナも車両ラインナップに加える予定である。また、3年目までにライセンス上必要な最低車両数である800台の達成を目指すという。
GrabCabによると、サービス開始に向けてすでに700〜800件の運転希望者から応募があり、そのうち400〜500人が初期ドライバーとして選定された。選定基準には、タクシードライバー職業免許(TDVL)の保有と安全運転記録(違反点数の少なさ)が含まれる。
TDVL未保有者には、認定教育機関でのTDVL取得コースが無料で提供される。GrabCabのレンタル料金は1日あたり117Sドルからで、先着100名のドライバーには特別料金112Sドルが適用される。
料金体系については、他社と同水準の運賃が設定されている。トヨタ・プリウスを使用するGrabCabの初乗り料金は4.60Sドルで、10km未満は400mごとに26セント、10km超は350mごとに26セント加算される。待機時間も45秒ごとに26セントが課金される。電動車両の場合は初乗りが4.80Sドルとなる。
GrabCabは、タクシーメーターとGrabアプリが完全に統合されており、ドライバーはアプリを通じて簡単に配車依頼と流し営業の両方を受けることが可能となっている。また、アプリ内での代行ドライバー探し機能も提供され、柔軟な勤務スタイルをサポートする。
他社との競争優位性について、GrabRentalsのディレクターであるヴィクター・シム氏は、「当社は技術面での強みと、給油・充電ネットワークなど業界パートナーとの連携によって、最大25%の燃料・充電割引を提供できる」と述べた。
既存のタクシードライバーから懸念の声も上がっていたが、GrabはStrides Premierの運転手に対し、「GrabCab導入によって配車アルゴリズムに変更はない」と明言。シム氏も「市場のパイを奪うのではなく、拡大することが目的だ」と強調した。
GrabCabは、免許はあるが現在稼働していないドライバーの再活性化や、新規参入者への働きかけを通じて、シンガポール国内のタクシー供給問題の解決にも貢献するとしている。