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社会

2025年5月27日

デング熱感染者数が大幅減少

 シンガポール国家環境庁(NEA)は、2025年上半期のデング熱感染者数が約2,000件となり、前年同期比で74%減少したと発表した。この成果は、地域社会の継続的な警戒と「プロジェクト・ウォルバキア」などの革新的な対策によるものである。
 
 NEAは、2023年と2024年に大規模なデング熱の流行を回避できた要因として、地域社会の強固な警戒体制と持続的な対策を挙げている。特に、ウォルバキア菌を感染させた蚊を放出する「プロジェクト・ウォルバキア」は、感染リスクを大幅に低減させる効果が確認されている。
 
 2025年5月25日、NEAはデング熱予防キャンペーンを開始し、持続可能性・環境省のジャニル・プトゥチェリー上級国務大臣が、地域社会に対し、蚊の発生源を排除し、デング熱およびジカ熱の感染リスクを最小限に抑えるよう呼びかけた。
 
 2025年5月15日までに、デング熱による死亡例が2件報告されている。NEAは、5月から10月の暖かい季節には、蚊の発育とウイルスの増殖が加速するため、感染リスクが高まると警告している。
 
 また、デング熱を媒介するネッタイシマカはジカウイルスも伝播する可能性があり、特に妊婦が感染した場合、胎児に小頭症などの先天性障害を引き起こす恐れがある。そのため、NEAは「B-L-O-C-K」および「S-A-W」の行動指針を実践し、蚊に刺されないよう努めることを推奨している。
 
 「プロジェクト・ウォルバキア」の研究では、ウォルバキア感染蚊の放出地域でデング熱感染リスクが約75%低下し、隣接地域でも約45%の低下が確認された。2026年末までに、シンガポール全世帯の約50%にあたる80万世帯がこのプロジェクトの恩恵を受ける予定である。
 
 NEAは、デング熱クラスター地域でのウォルバキア感染蚊の使用を試験的に導入し、従来の対策と併用することで、さらなる感染拡大の防止を図るとしている。

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