2025年5月8日
UOB、米国関税の影響で2025年業績予想を一時停止
シンガポールの主要銀行であるユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)は、2025年の業績予想を一時的に停止すると発表した。背景には、米国による対中関税措置の強化に伴う国際貿易環境の不透明化があり、同行はその影響範囲を慎重に見極める必要があるとしている。
UOBは、2025年第1四半期の決算も併せて公表しており、純利益は前年同期比で横ばいとなった。しかし、金融市場の事前予想を下回る結果となり、投資家の間では慎重姿勢が広がっている。経費増加や利鞘の圧迫も、収益面での伸び悩みの要因とされる。
同行は、米国の政策変更がアジア全体の金融・輸出入市場に与える影響が極めて大きいと指摘しており、業績予想の再開は、今後の情勢次第であると明言している。この判断は、地政学的リスクや通商摩擦の拡大リスクを織り込んだものであり、他の地域金融機関にも波及する可能性がある。
UOBの対応は、グローバル経済に対する警戒感の表れであり、シンガポール金融界におけるリスク管理の在り方にも影響を及ぼすことが予想される。