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金融

2025年5月6日

シンガポールドル、1USドル=1.29台に上昇

 2025年5月5日、シンガポールドルは対USドルで1.292を記録し、年初からの上昇率は5.3%に達した。これは2024年9月以来の水準であり、アジア通貨全体が上昇する中での動きである。
 
 背景には、米中貿易摩擦の緩和への期待と、アジア諸国と米国の関税交渉進展への楽観がある。米国のトランプ大統領が一部の国との間で今週中にも貿易合意が見込まれると発言したことを受け、投資家心理が改善し、地域の通貨と株式市場が軒並み上昇した。
 
 アジア通貨では、台湾ドルが1988年以来最大の2.7%高、マレーシアリンギが1.3%上昇し、韓国ウォンも同様に1.3%の伸びを示した。日本円と豪ドルもそれぞれ0.6%、0.5%上昇している。
 
 HSBCのアジア為替調査責任者ジョーイ・チュー氏は「市場は関税強化の段階から緩和、交渉の段階へと移行したとの見方が広がっている」と指摘する。特に輸出依存度の高いアジア経済においては、資産再配分よりも為替ヘッジの動きが活発になっているという。
 
 台湾では、政府が5月3日に米国との初回交渉を実施したと発表。これを受けて台湾ドル買いが進行し、中央銀行は同5日午前に流動性供給のため介入を行ったとされる。
 
 一部では、アジア諸国が米国からの通商譲歩を引き出す目的で意図的に通貨高を容認しているとの観測もあるが、台湾中央銀行はこの見方を否定し、為替の安定維持を強調している。
 
 米国経済指標が堅調であっても、ドル資産への投資意欲は低下傾向にあり、投資家の「米国離れ」が進む中、アジア通貨への需要が今後も続く可能性がある。

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