2025年5月6日
シンガポールで初確認 希少なチョウ「ゴールデン・バードウィング」
シンガポール植物園にて、国内初となる希少なチョウ「ゴールデン・バードウィング(Troides aeacus)」の目撃情報が確認され、自然愛好家や専門家の間で話題となっている。黒と黄色の鮮やかな羽を持つ本種は、マレー半島、インド、中国、タイ、ベトナムなどで見られるが、これまでシンガポールでの記録はなかった。
発見者は、野鳥写真家でもある理科教師のファズルン・アドナン氏(42)。4月28日、植物園でコジュケイを探していた際に見慣れないチョウを撮影し、自然観察投稿サイト「iNaturalist」に投稿した。その後、蝶愛好家らにより本種がゴールデン・バードウィングと特定された。
バタフライ・サークルの代表でチョウの専門家であるキュー・シン・クン氏は、撮影された個体は1匹のオスであり、マレーシアから飛来した可能性が高いと分析する。本種は長距離飛行が可能で、数十キロ以上を移動することが知られている。
ゴールデン・バードウィングは、黒い前翅と黄金色の後翅に黒い筋が入り、頭部と胸部には赤い斑点があるのが特徴である。香港海洋公園によれば、飛翔時の姿が小鳥に似ていることから「バードウィング」と名付けられたという。
本種は、香港の農林水産保護部門により「希少種」として分類されており、保護の必要性が指摘されている。シンガポールの「レッド・データ・ブック3」には未記載であるが、今回の発見を受け、今後の生物多様性調査に新たな知見をもたらすものと期待される。
チョウの撮影を趣味とする大学生のロウ・ジアン・カイ氏(26)は、「新種が現れることは非常に珍しく、記録が増えること自体が自然観察の魅力である」と語っている。