2025年5月2日
NTUC、労働者の生活向上に前進 若者・介護者・低所得層支援も強化
全国労働組合会議(NTUC)は4月30日、メーデーに先立ち発表した年次メッセージの中で、労働者の生活向上と所得改善に向けた取り組みが着実に成果を上げていると強調した。メッセージは、K・タナレチミ会長とウン・チーメン事務局長の連名で発表された。
両氏は「激化する世界的な通商摩擦の影響を受け、シンガポールも無縁ではない。NTUCは米国の関税政策を注視しつつ、政府および雇用主と連携し、労働者の支援と新たな機会の創出に努めている」と述べた。
NTUCは雇用主団体や人材開発省との三者協力体制のもと、経済的・社会的な持続可能な発展を推進しており、その基盤は60年にわたる政府との信頼関係に根ざしているという。
2024年度には、低所得家庭や介護者、若者を支援するために「NTUC-Uケア基金」から380万Sドルを拠出。2025年から3年間にわたり、特別支援が必要な子どもを育てる家庭や高齢者を抱える単独介護者など、年間4,000人以上を対象とする540万Sドルの追加支援も行う予定である。
若者支援では、奨学金やリーダーシップ研修を提供する「スターター・アワード」や、困難な状況にある学生向けの「ユース・イネーブル基金」を創設。また、企業内研修委員会とSkillsFutureの“クイーンビー・プログラム”を連携させ、業界全体でのスキル向上を図っている。
さらに、専門職や管理職層(PME)への支援として、新たに「カンパニー・メンタリング・サークル」を導入予定であり、キャリア形成を支援する体制を整えるという。
また、雇用の公平性を担保する「職場公平性法」制定の働きかけを継続し、外国人労働者と地元人材の共存を目指す取り組みも強化されている。
NTUCは今後も、公平な職場環境の整備と労働者の能力開発を通じ、全世代の生活向上に寄与していく方針である。